あいでんの読書日記📖

この本を読んでくれ!と紹介する。週1で更新したい。

「理工系離れ」が経済力を奪う

今回の話は主に大学への進学、大学在学中の進路決めに関する話です。著者は大学教授であり、金融工学を専門としています。

さて、この本を読んで、様々なことが分かりました。私の感想とともにみていきたいと思います。

金融工学という分野

まずは、金融工学という分野があるということです。なんとなく聞いたこともある気がするけど工学部のイメージがわきにくいと思います。僕のイメージは数理統計とプログラミングを使って経済について研究する学問、という感じです。金融というと文系、さらに言えば経済学部でやるもんじゃないの?と思う人もたくさんいると思います。実際やると思いますが、そこにはある問題が存在します。

現在(少なくとも私が大学受験をするとき)の高校のカリキュラムでは文系の人は数学Ⅲを勉強していないはずで、全体的に理系の人のほうが数学はできると思います。これも私の想像ですが、経済の勉強をするには数学が必要不可欠で最先端を行こうと思えば、それこそ難しい計算などもやらなければいけないのではないでしょうか?それなのに高校で数学Ⅲをやっていない・・・

そこで工学部の数学ができる人たちが金融の分野に手を伸ばし始めたのではないでしょうか。本にも書いてありましたが、経済学部の人が数学を勉強するよりも工学部の人が経済学を勉強するほうが効率が良い気がします。

大学教授の忙しさ

次に大学教授の忙しさについてです。研究に加えて学部生、院生の授業をしたり、事務関連のことや雑務などもたくさんあるらしく、この本ではその大変さも垣間見ることができました。大学教授が書いているだけあってリアルな気持ちが描かれていると思います。

この本はある意味、大学生への教育をどうしていくべきか、ということが書かれた本なので、大学生から見れば教授がどういう風に教育していきたいと思っているかを読み取ることもできるでしょう。教授が大学の教育について書いた本をたくさん読めば、大学教育についていろんな視点がもてるようになるのではないかと思います。これからもいくつか読みたいですね。

日本の大学とアメリカの大学

本の最後の方には日本の大学の苦しい資金繰りの話も出てきます。著者曰くアメリカでは大学への寄付などが日本とはけた違いに多くそれゆえ研究施設が立派で設備も充実しているということでした。なんとなくイメージは分かりますね。

一方で日本はというと悲しい現状にあるようです。私の考えではその国の将来は教育にかかっていると思っているので国はそれに見合う(国の将来をそこにかけるくらいの気持ちで)予算を組むべきだと思っています。

大学が苦しい状況になれば(すでに苦しいと思いますが)、優秀な人材は間違いなく海外に流出することになります。そうするとますます日本としては苦しい状況に追い込まれていくことになります。この負のスパイラルを続けていたら日本は衰退していくことが必至です。幸いまだ日本には優秀な人材が豊富であると思うので早く手を打つべきだと思っています。

最後に

大学教授が大学の在り方について語っているので、大学生や大学関係者の方は一度読んでみると自分を振り返ってみるという意味で読む価値のある本だと思います。

また、2009年の本なので少し昔の話になると思いますが、著者のこれからの展望と今の現状を比べるという読み方もできて、それも一つの読み方としてアリだなと思いました。

「理工系離れ」が経済力を奪う (日経プレミアシリーズ)

「理工系離れ」が経済力を奪う (日経プレミアシリーズ)